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警察襲撃事件の中国・ウイグル「戒厳状態」 当局、本紙記者ら一時拘束 (1/3ページ) - MSN産経ニュース
2008.8.11 00:55
10日、爆発があった中国ウイグル自治区クチャ県の靴店(AP)10日、爆発があった中国ウイグル自治区クチャ県の靴店(AP)

 【クチャ(中国新疆ウイグル自治区)=野口東秀】「街中が戒厳状態にあるようだ」。警察襲撃事件が発生した中国新疆ウイグル自治区のクチャ県中心部のホテル関係者は、中心部が封鎖されているもようだと話した。街では武装警察部隊が展開しており、極めて緊迫した状態だ。

 公安(警察)局以外にも10カ所以上が襲撃されたといわれる今回の事件。地元のホテルの関係者は「外出しないように警察から指示があった。午後にかけて戒厳状態のような雰囲気になった。今はやや緩和されたようだ」と述べた。別のホテル関係者は「ウイグル独立派と関係があるかわからないが、今後同じようなことが起こるのではないか」とおびえた様子で話した。

 区都ウルムチから飛行機で1時間15分のアクスから砂漠地帯を車で猛スピードで3時間走るとクチャに到着する。クチャの市民は「飲食店や雑貨店、土産物屋など多くの店が閉まっている」と語った。

 テロ事件を受けすでにアクスでは公安(警察)局や空港などで警備要員を増やしている。

【北京=福島香織】クチャ県では、警察襲撃事件があった10日、午後4時(日本時間午後5時)まで外出が規制され、旅行中の外国人もホテルに缶詰となった。クチャの天山路のホテルに宿泊している日本人旅行者の神尾将司さん(29)は「ホテルには朝から外に出るなといわれた。午後1時ごろも『バーン』という爆発音が聞こえ、怖かった」と声を震わせていた。

 神尾さんによると、ホテル周辺は普段は人通りの多い繁華街だが、この日は警察車両以外、人も車も通らず、ゴーストタウンのようになっていたという。通り沿いに立ち入り禁止を示すテープが張り巡らされ、道路も封鎖されていたという。また、ホテル従業員が部屋にきて持ち物やテレビなどの電気製品をチェックしたという。

 神尾さんは北京に留学中で夏休みを利用して新疆地域を旅行中だった。

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 中国の公安当局は10日夜、警察襲撃事件を取材していた産経新聞中国総局の野口東秀記者と時事通信社の記者とカメラマンの計3人を当局の施設に連行した。野口記者は午後10時(日本時間同11時)前に拘束され、11時半ごろ拘束を解かれた。連行の際、強引に車両に連れ込まれたが、暴力は受けていないという。

 公安当局者は野口記者に対し、「外国人記者としての取材範囲を逸脱している。五輪の記者証でどうしてここへくるのか」などと語ったという。拘束した理由については「国内外を問わず事情を聴くことになっている」と説明した。